先週、米国株式市場はNYダウが2666.84ドル高と急上昇して引けています。金曜日がグッドフライデーで休場だったことを考えると、平均で一日当たり600ドル超の上昇となっています。コロナウィルスの感染拡大が一服したとの思惑や当局の対応などに期待感が強まる局面です。さらに原油の減産が決定されており、原油価格が下支えられるのではないかといった見方が強まることで、関連銘柄に買い戻しの動きが入っています。ここからさらに上値を拡大することが出来るかどうか、来週以降の注目点ということができるでしょう。
今回のコロナウィルスによる経済の急激な落ち込みに関しては、個人的には完全に想定外の動きでした。物流などの面で多少の混乱はあると考えていましたし、中国との貿易などを考えると被害が大きくなる可能性もないわけではない、といった程度の認識でした。しかし、それが緊急事態宣言まで出される事態となり、世界中で死者が急増するといった展開になり、外出を自粛する動きが経済を大きく落ち込ませる状況となっています。現状で速報性の高い指標の一つである米国の新規失業保険申請件数が異常ともいえる増加を示しており、米国の雇用統計も大きく悪化しています。来月はさらに悪化するものと考えられ、警戒感が強まるところです。
コロナウィルス前の経済は概ね堅調だったということができるでしょう。米株は史上最高値圏での推移となっていましたし、雇用なども堅調でした。問題はコロナウィルスが終息した後に、経済がどのような回復を見せるのかといったところでしょう。ここまで大きな問題となってしまった以上、V字回復といった流れは見込めないでしょう。しかし、ここまでの外出自粛などの反動の動きはみられるものと思われ、消費は意外と早い段階で持ち直す可能性はあるとみています。人の動きが活発になれば、経済は回っていくでしょう。とはいえ、それはすぐにというわけにもいかないため、年後半に期待といったところではないでしょうか。
今はコロナウィルスの問題の第3段階に入るところではないかと考えています。第1段階はコロナウィルスとそれに伴う経済への悪影響に対する思惑で急落するといった動きを見せました。そして、第2段階は各国の政府や中央銀行がコロナウィルスの落ち込みに対応すべく経済支援や利下げなどを行い、相場が押し戻す動き。そして第3段階は実際に経済データによってコロナウィルスの悪影響がどの程度のものであったのかの確認しながら動くといった局面です。第3段階はコロナウィルスが経済にどの程度の悪影響を与えたのかの答え合わせのようなものであり、予想との乖離の大きさによって相場が乱高下することもあるでしょう。つまり悪い予想よりも良い数字が出れば、たとえ絶対的に見れば良くない数字であっても市場は好感するでしょう。逆に悪い予想でさらに悪い数字となれば失望売りが強まるでしょう。市場においてはすでにコロナウィルスの死者の数などは重要視するものではなくなりつつあるのではないでしょうか。もちろん、死者の数が急増したなどといったことが起きれば話は変わりますが・・・