コラム

極東アジアの地政学的リスクと統一朝鮮の可能性

今回は東アジアの地政学的リスクについて、GSOMIAの件もありましたので考えてみたいと思います。ただ、安保に関しては素人のところもありますので、その点はご了承いただければと思います。

今回の韓国のGSOMIA破棄に関しては手続きが面倒になるだけで、そこまで大きな影響はないといった話もあります。その一方で、韓国は中国・北朝鮮サイドに鞍替えし、前線が38度線から対馬付近に南下したといった話もあり、どちらが正しいのかははっきりしないところではあります。ただ、いずれにせよ日韓の関係は大きく悪化しており、現状での融和は難しい局面です。私は日本にいてその情報を得ているのでその影響を受けているのはありますが、今回の問題の非は韓国サイドにあり、日本は冷静に粛々と対応をすべきと考えていますが、安全保障の問題は様々な分野に影響を与えることは意識すべきでしょう。

韓国は北朝鮮との統一を目指しており、北朝鮮の核を背景に日本と対峙するといった話がネット上で見かけます。これに関してはその可能性もあるくらいにとどめておきますが、そういった動きとなる可能性は低いとみています。そもそも、朝鮮半島の統一は現状において韓国を除くすべての国が望んでいないのではないか、といった見方をしています。朝鮮半島が統一ということになった場合、その後の国家をどちらが主導するのでしょうか。統一が平和的か戦争によってかで変わりますが、平和的に統一となった場合、現状では北が主導する可能性が高いとみています。北朝鮮は金正恩主席の独裁国家であり、これが韓国の下につくことは権力基盤の崩壊を意味し、到底受け入れられないでしょう。逆に韓国の場合はそういったことがありません。となった場合、朝鮮半島に独裁的な国家ができる可能性が高いのではないでしょうか。

そうなった場合、統一朝鮮が日本に対して攻勢に出るでしょうか。もちろん、今までのような飛翔体の日本海への発射などはあるでしょう。しかし、実際に戦端を開く可能性は限りなく低いのではないかとみています。仮に日本と戦端を開くとなった場合、さすがに米国は黙ってはいないでしょう。仮に日本まで失うとなったら、米国の太平洋での覇権が大きく傷つきます。日本の基地により中国をけん制できなくなるというのは米国にとっても問題が大きすぎます。となると、米国は日本に対してバックアップする可能性が高いでしょう。そういった状況下で北朝鮮が日本に対して攻勢をかける可能性は限りなく低いでしょう。金正恩主席はそういったところをしっかりと認識して立ち回っているように思われます。

一方、統一朝鮮が生まれた場合、中国にとってもこれは由々しき事態となり得ます。これは南北、どちらが主導する形であっても、朝鮮半島に一つの国が出来ることは潜在的なリスクとなり得ます。仮に統一朝鮮と中国との関係が悪化した場合、中国の首都北京が脅威にさらされます。地理的な問題で中国は朝鮮半島に統一国家ができることは望ましいことではありません。現状は北朝鮮が南を向いているから都合がよいのであって、統一朝鮮の誕生によって全方位に視線を向けるようになる可能性を警戒するのではないでしょうか。

米国は東アジアに関しては地理的な面から考えると、統一朝鮮が生まれても直接的なリスクは高まりません。しかし、統一朝鮮の誕生が日本の安全保障上問題となりうる状況は望ましいことではありません。特に中国包囲を考えている中で韓国・日本を失うわけにはいかないでしょう。となると、在日米軍の補強を迫られるかもしれません。

日本にとっても統一朝鮮の誕生は前線の南下を意味するだけに非常に厄介です。憲法9条に関してはすぐに改憲の動きとなるとみています。おそらくはアメリカ側の改憲圧力が強まる一方で、国内でもそういった動きが意識されるでしょう。前線が目の前に迫る中で非武装は自殺行為というほかありません。

以上のようなことを考えると、朝鮮半島の統一は現状では周囲の環境によって出来ないのではないかと考えています。もちろん、周辺の大国の思惑を超えて電撃的に統一という可能性が0とは言いませんが、そもそも北朝鮮がそれを望むのだろうか、というところで疑問を抱いています。統一朝鮮の誕生が中国を刺激する可能性を金正恩主席が考えないわけはないでしょう。経済規模も軍事力もそれなりの国が近くに出現したら。しかもその国は核兵器を保有し、首都に近いところに位置しているとなれば・・・

となると、朝鮮半島は現状維持が無難、という結論となるのではないかとみています。こういったことを書くと統一を目指している人から叱られそうですが、実際問題として大国の思惑に振り回されてきた過去があります。そして、その状況はまだまだ続くのではないかと予想しています。そういった中でのGSOMIA破棄は日本以外の周辺国からしても驚きの事態だったのではないでしょうか。これにより、韓国は中国・北朝鮮側についたという話もありますが、実際に中国・北朝鮮サイドからしても迷惑な行動だった可能性はあるでしょう。金正恩主席が武力での統一を目指しているのであれば話は変わりますが・・・

関連記事

  1. コラム

    年金2000万円問題

    参議院選挙が迫ってきていますが、『年金2000万円問題』が話題となって…

  2. コラム

    米国の金融政策

    現状で市場の注目を一番集めているのは米国の金融政策といっても差し支えな…

  3. コラム

    仮想通貨(暗号資産)『リブラ』の今後

    フェイスブックの仮想通貨(暗号資産)『リブラ』に対する警戒の目は日に日…

  4. コラム

    英国はどこに向かうのか

    Brexitがどういった結末を迎えるのかは市場にとって重要であり、注目…

最近の記事

  1. ユーロドル30分足
  2. ドル円30分足
  3. 東京市場戦略
  4. ユーロドル30分足
  5. ドル円30分足
  1. FX

    東京時間帯戦略
  2. FX

    ドル円30分足
  3. FX

    ドル円30分足
  4. FX

    ユーロドル30分足
  5. 動画

    週間相場分析(20190908)
PAGE TOP